ダンス留学で感じるカルチャーショックとは?

ダンス留学は、技術の向上だけでなく、異文化との出会いによって自己成長を促す貴重な経験です。しかし、異なる文化や価値観に触れることで、予期せぬカルチャーショックを受けることも少なくありません。

実際にダンス留学を経験した方々の体験談をもとに、よくあるカルチャーショックを10項目にまとめました。これからダンス留学を考えている方は、事前に知っておくことで心の準備ができるでしょう。


1. 自己主張の強さに圧倒される

アメリカのダンススタジオでは、生徒が積極的に自己表現を行う姿が一般的です。日本では控えめな態度が美徳とされることが多いですが、海外では自分の意見やスタイルを堂々と示すことが求められます。

最初は戸惑うかもしれませんが、自己主張の大切さを学ぶ良い機会となるでしょう。


2. 時間に対する感覚の違い

日本では時間厳守が当たり前ですが、海外では時間に対する感覚が異なることがあります。

レッスンの開始時間が遅れる、終了時間が延びるなど、柔軟な対応が求められる場面も。スケジュールに余裕を持つことが大切です。


3. フィードバックのストレートさ

講師からのフィードバックが非常に率直であることに驚く方も多いです。日本では遠回しな表現が多いですが、海外では改善点を明確に伝える文化があります。

最初は厳しく感じるかもしれませんが、成長のための貴重なアドバイスと受け止めましょう。


4. 多様なバックグラウンドのクラスメイト

年齢、国籍、経験値が異なるクラスメイトと一緒に学ぶことは、刺激的でありながらも戸惑うこともあります。

しかし、多様性を受け入れ、互いに学び合うことで、視野が広がり、ダンスに対する新たなアプローチを得ることができます。


5. 英語でのコミュニケーションの難しさ

ダンス用語や日常会話を英語で行うことに最初は苦労するかもしれません。しかし、積極的に話す姿勢と、分からないことを質問する勇気が語学力向上の鍵となります。

また、ボディランゲージや表情もコミュニケーションの一部として活用しましょう。


6. レッスンスタイルの違い

日本のレッスンでは基礎練習に重点を置くことが多いですが、海外では振付中心のクラスが一般的です。

スピーディーな進行に最初は戸惑うかもしれませんが、自主的に基礎を復習することで対応できます。


7. 自己管理の重要性

レッスンの選択、スケジュール管理、体調管理など、すべて自己責任で行う必要があります。

自律的な行動が求められる環境は、自己成長の大きなチャンスでもあります。


8. 生活習慣の違い

食文化、生活リズム、住環境など、日本とは異なる生活習慣に適応することが求められます。

最初は戸惑うこともありますが、柔軟な姿勢で新しい文化を受け入れることが大切です。


9. ダンスに対する情熱の違い

クラスメイトのダンスに対する情熱や取り組み方に刺激を受けることが多いです。

自分のモチベーションを再確認し、さらなる高みを目指す原動力となるでしょう。


10. 自分自身の変化と成長

カルチャーショックを乗り越えることで、自分自身の価値観や考え方に変化が生まれます。

異文化との交流を通じて得た経験は、ダンスだけでなく人生全体において貴重な財産となります。


留学生の体験談から学ぶ

高校卒業後、夢を追ってロサンゼルスへ —Sakuraさん(19歳・東京都出身)

高校を卒業してすぐにロサンゼルスへ渡米し、6ヶ月間のダンス留学を経験したさくらさん。

彼女は、初めての海外生活と英語環境の中で、多くのカルチャーショックを体験しました。

「最初のレッスンで一番驚いたのは、自己紹介のときにほとんどの生徒が堂々と先生に自分のSNSアカウントや過去の出演歴を話していたこと。

日本では“前に出ること=目立ちたがり”みたいに思われがちだけど、LAでは“自分をどう見せるか”が当たり前なんだと知りました。」

また、英語でのレッスンにも苦労したと話します。

「コンビネーションの説明やカウントが速くて、何を言っているか全然わからなかった。最初の2週間は、先生の動きだけを見て何とかついていく感じ。でも、クラスが終わった後に勇気を出して“Can you show me again?”って聞いたら、すごく丁寧に教えてくれて。

そこから、“聞くことを怖がらない”のが大事だって思えるようになりました。」

ホームステイ先での生活も大きな挑戦だったと語ります。

「ホストマザーが料理中に音楽を爆音で流してキッチンで踊ってて(笑)。

最初はカルチャーショックだったけど、少しずつ“こういう自由さがアメリカらしさなんだ”と受け入れられるようになりました。」

帰国後、彼女は明らかに変わったと感じているそうです。

「ロサンゼルスでのダンス留学は、私の人生観を変えました。

自分の意見を持って、それをちゃんと伝えることの大切さや、環境が違ってもダンスで繋がれる喜びを知ることができたから。

英語力ももちろんだけど、それ以上に“自分で考えて動く力”が身についたと思います。」


「自分の“常識”が通じない」— Mayumiさん(34歳・神奈川県出身)

真由美さんは、神奈川県でキッズダンスとヒップホップのクラスを10年以上教えてきたベテランインストラクター。仕事のキャリアも安定し、生徒も増えていた中で、「もう一度、世界基準で学び直したい」という思いから、1ヶ月間のロサンゼルス短期ダンス留学を決意しました。

「正直、私は“先生側の人間”という意識が強かったと思います。指導経験もあったし、日本ではある程度自信もありました。でもLAに来てすぐ、“自分の当たり前”が通用しないことを思い知らされたんです。」

彼女が最初に戸惑ったのは、レッスンの「空気感」でした。

「LAのスタジオって、生徒がスタジオに入ってくるなり音楽かけて自由に踊ってるし、講師もフラッと現れて、その場のノリでスタートするんです。日本のような礼儀や挨拶の一体感がなくて、“ちゃんとしないと”って肩に力が入っていた自分が浮いてしまった感じでした。」

さらに、インストラクターとしての価値観が大きく揺らぐ体験も。

「私は“振り付けを正確に踊ること”が大切だと思ってきました。でも、現地の講師は“間違ってもいいから、あなたの感情を出して”って言うんです。完璧さよりも個性を求められることが、衝撃でした。」

レッスン中、堂々とミスをしても笑って続ける他の生徒たちの姿が、とても印象的だったと語ります。

「日本では“間違えたら恥ずかしい”って空気があるけど、LAではむしろ“間違いをどう魅せるか”にすら個性を感じました。最初は全然ついていけなかったけど、途中から“ミスしてもいいんだ”って心が楽になって、笑顔で踊れるようになったんです。」

帰国後、真由美さんは日本でのレッスンスタイルにも変化があったと言います。

「帰国後、今までは“揃える”ことを重視していたのが、今では“感じること”を生徒に伝えるようになりました。子どもたちも楽しそうに自分を表現できるようになってきていて、LAでの経験は私自身の指導者としての価値観も広げてくれました。」

カルチャーショックを乗り越えるためのポイント

  • 柔軟な思考と適応力:異なる文化や価値観を受け入れる柔軟性が重要です。
  • 積極的なコミュニケーション:分からないことは積極的に質問し、交流を深めましょう。
  • 自己管理の徹底:スケジュールや体調の管理を自分で行うことで、安心して留学生活を送れます。
  • サポート体制の活用:現地のサポート機関や日本人コミュニティを活用することで、困難を乗り越える手助けとなります。

まとめ:ダンス留学で得られるもの

ダンス留学を通じて、技術の向上だけでなく、異文化との交流や自己成長といった多くの経験を得ることができます。カルチャーショックは避けられないものですが、それを乗り越えることで、より豊かな人生を築くことができるでしょう。これからダンス留学を考えている方は、ぜひ今回紹介した「あるある」を参考に、充実した留学生活を送ってください。

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