「あの子より踊れていたはずなのに…」

ロサンゼルスにダンス留学したばかりの私。
振り覚えは得意で、日本でもコンテストや舞台経験を重ねてきた。

なのに——。
レッスン後に講師から声をかけられたのは、私ではなく、ミスもしていた隣の子だった。

「自信があったのに、どうして?」
その疑問から、私の“本当の意味でのダンス留学”が始まった。

この記事では、技術偏重だった日本人ダンサーが、ロサンゼルスで直面した“評価されないリアル”と、そこから見えた**「本当に必要な表現力」**について、リアルな体験談を交えてお伝えします。


1. 技術は通用する。でも、それだけでは“残らない”

日本のレッスンでは「振り付けを正確に覚える」「キレを見せる」ことが評価につながることが多くあります。
しかし、ロサンゼルスのダンススタジオでは、“技術はできて当たり前”という前提のもと、さらにその先の「表現力」「個性」が求められます。

たとえ動きが正確でも、表情が固い、感情が乗っていない、音の取り方がフラット……そういった“感覚の差”は、LAの講師やダンサーには瞬時に伝わります。

🌟 講師の一言(体験談)
「Your dancing is excellent. It would be even better if you added more of your own expression.」

これは、「とても上手ね。自分の表現を加えるともっと良くなるわよ」という意味。まさに、“技術だけじゃ通用しない”瞬間でした。


2. 日本とLAの「評価の基準」がここまで違うとは…

▶ 日本の基準(主に若年層や大会環境)

  • 振り覚えの速さ
  • シンクロ率・完成度
  • ポジション取り・構成力

▶ LAの基準(プロ志向・スタジオベース)

  • その人らしさ(個性・世界観)
  • 表情・視線・感情の使い方
  • 音の感じ方と間の取り方
  • “場”を支配する存在感

特に大きいのは、「完璧さ」ではなく「伝わるかどうか」が大前提ということ。
技術的な正しさが“最優先”されないのがLAの現場です。


3. カルチャーギャップ①|“間違えても止まらない”ことが評価される

LAのクラスでは、途中で間違えても止まらずに踊り切る人が拍手を受け、逆にミスを恐れて止まってしまうと逆に“どうしたの?”と思われてしまう雰囲気すらあります。

🎤 留学生の声(高2女子)
「レッスン中にミスしてしまって、すぐ止まったら“Keep going!”ってこれをかけられて…その場ですぐに対応できなかったのを覚えています。」

これは、「完璧さ」よりも「意志を持って踊ること」が評価される文化の現れです。


4. カルチャーギャップ②|“自分を主張しない=存在しない”と見なされる

日本では「控えめであること」や「周囲に合わせること」が美徳とされます。
しかし、ロサンゼルスではその逆。“自分を表現しなければ、誰もあなたを覚えてくれない”という現実があります。

  • クラスで誰よりも前に出て堂々と踊る
  • カメラが回ると誰よりも“魅せる”
  • 講師に“Thank you”だけじゃなく“Your combo was powerful!”と伝える

こうした“見せ方・話し方・立ち方”のすべてが表現力として評価されるのです。


5. 表現力を身につけるには?今からできる3つの準備

✅ ① SNSでLAの人気ダンサーの「振る舞い」を観察する

振付けではなく、視線・間・ポーズ・表情の作り方を見るだけでも勉強になります。

🔗 ミレニアムTV 公式インスタ
🔗 Playground LA インスタ


✅ ② 「音」を“聴く”練習をする

技術的に合わせるのではなく、どこで呼吸して、どこに余白を入れるかを意識するだけで、ダンスに深みが生まれます。


✅ ③ 表情トレーニングと“感情ノート”をつける

今日踊った振りの中で、「どこでどんな感情を表現したか」を記録。自分の中に物語を持つこと=表現の源になります。


6. 留学生インタビュー:評価されるようになった“きっかけ”

🗣 Amiさん(高3/ヒップホップ歴6年)
「最初は“なんで隣の子ばっかり褒められるんだろう”って思ってたけど、動画を見返して納得。私は表情がなかったし、音に乗ってなかった。“上手く見える”ことばかり気にして、踊る楽しさを忘れてたかも」

彼女はその後、毎回のレッスンで「今日はどんな感情で踊りたいか?」を1つ決めてからスタジオに入るようになり、講師から「Your energy was amazing」と初めて褒められたとのことでした。


まとめ|“上手い”よりも“伝わる”ことを意識する

ロサンゼルスのダンスシーンでは、「技術が高いこと」は最低限。
その先にある“自分をどう魅せるか”こそが、他者の記憶に残り、チャンスを引き寄せます。

  • 誰かの振りをなぞるだけのダンスではなく
  • 自分の感情・意志・世界観をのせた表現を目指す

そう意識を変えるだけで、あなたの踊りは“誰とも違うもの”に変わっていきます。


💬 お気軽にお問い合わせください